7回目の馬蹄形は腸脛靭帯炎発症で杖つきながら下山(涙)。

2017年3月29日(水)

最後のスノーシューツアーから10日ぶり、アップダウンの激しいスノーシューツアーから数えると3週間ぶり、雪のない地面の上を歩くのは2ヶ月ぶり、古賀志山も2ヶ月ぶり。この間、デスクワークばかり、夜は飲んでばかり。
とくればなにか悪いことが起こりそうな、嫌な予感が頭をかすめる(笑)

歳とともに身体の変調を前もってわかるようになったのは成長の証なのだろうか。どれくらいの日数、運動をしないでいると身体に変調を来すかがわかる。
管理人の場合、最低でも週に一度はそこそこアップダウンのある山を歩かないと下半身の筋が固まってしまい、次に歩くと太ももの痙攣や膝の外側の痛みを引き起こす。
致命的なのは膝の外側の痛みでこれはのちに腸脛靭帯炎という病名であることがわかったのだが、歩いている途中、曲げた膝を伸ばすときに痛む。一度発症すると下山まで痛みをこらえながら歩かなくてはならならず、これは辛い。

長い間、同じ姿勢でデスクワークを続けているときなど、大臀筋や大腿筋膜張筋が緊張しそれらとつながっている腸脛靭帯が引っ張られて柔軟性がなくなり、膝関節とのすき間が狭くなるのが原因といわれている。
その状態で膝の曲げ伸ばしを数千回繰り返すと、腸脛靭帯が膝関節とこすれて炎症を起こして痛みとなる、というのが腸脛靭帯炎だそうだ。
ただし、膝の曲げ伸ばしが数千回とはいっても、ウォーキングだと膝の曲げ角度が小さいので、炎症には至らないらしい。

だから、大臀筋と大腿筋膜張筋の緊張を解きほぐしてあげる必要上、デスクワークはほどほどに、仕事をほっぽり出して山を歩くのが腸脛靭帯炎を発症させない秘訣ということになる。これが長い時間をかけて習得した管理人の結論である。
今月は本業とそれにまつわる雑用が特別に多かったが、月末になって一段落つき、これから繁忙期を迎えるまで山歩きに没頭できそうだ。天気予報を見つめ、狙った日が晴れとわかれば即、行動。そんな日々となりそうだ。



宇都宮市立森林公園・赤川ダムの堰堤から眺める古賀志山全景。ふたこぶの左が古賀志山で右は東稜見晴台。
新緑の時期を迎えると湖面に映る古賀志山も緑になって実に美しい光景となる。


赤川ダムに並行するアスファルト道路を歩いて行くと赤川にかかる芝山橋と出合う。


橋を渡ると赤川に沿った道と斜面の道に分かれる。
今日は地理院地図にある正規の道を行く(少しだけ)ので、川に沿って歩いて行く。
斜面を登る道は東稜コースといって岩場を経由して東稜見晴台そして古賀志山に至る。


川沿いの道はこんな感じ。
このまま5分ほど進むと地図にある北コースとぶつかる。


古賀志山に至る北コースにぶつかるとカタクリの小群落が見られる。
花どころかまだ蕾さえない。


荒れた北コースを10分ほど歩くと憩いの場、水場である。
伏流水だと思うがとても美味しい水が飲める。
昨年気づいたが、土中に差し込まれた塩ビ管のうち、左側は涸れている。水脈が変わったのかもしれない。


北コースは一昨年の水害で土砂が堆積して荒れている。
沢を渡り、、、


水場のすぐ先にこんな案内板を見つけた。
昨年11月末に歩いたときはなかったので今年になって設置されたのだと思う。
左に古賀志山山頂となっているが、地理院地図の正規ルートは直進するようになっている。
管理人の今日の目的のひとつはカタクリの開花状況を調べることにあった。そこで正規のルートではなく、案内板にある「お花畑」に行くことにする。


カタクリの群落。
ほとんどが葉っぱだけ。


丹念に見ていくとようやく蕾があった。
蕾はまだ堅く、開くにはあと数日、必要とするみたいだ。


さらに堅い蕾。
柄が伸びて蕾が下を向いてようやく咲く体制が整う。


カタクリの群落地をすぎると道が分岐している地点に来た。
北へ向かう明瞭な道と南へ向かう不明瞭な尾根道である。
足は自然と不明瞭な道へと向かった。


ん~?
古賀志山の岩場はこれまでずいぶん経験しているがここは見覚えがないような。
もしかするとこのルートは初めて歩くのだろうか?
それにしても厳しそうだ。


 

おっ、ロープがあった。


ロープはたしか4本だったか、ようやく岩から解放されて平坦になった。


人の姿が見える。
東稜見晴台に違いない。
しかし、この位置から見晴台を見上げるのは初めてだ。やはり、ここまでのルートは未踏だったのだ。


いつも見慣れている見晴台からの宇都宮市街。
あいにくの天気だが晴れていれば筑波山が見える。


見晴台の突端にルート図がある。
初めての人にはとても理解できないと思うので見晴台に来る地元の人に尋ねてみるといい。
「24」と書かれた黄色のプレートはNPO法人「古賀志山を守ろう会」が今年になって取り付けた現在地番号。
事故が発生した場合などこの番号を警察と消防に通報すれば場所が特定され、すみやかに対応されるらしい。→こちらに詳しい

古賀志山を守ろう会によればプレートは1~27まであり、このようにルート図や案内板につけられているものもあれば、立木につけられているものもあるとのことだ。


27日の悪天候は日光の南40キロの古賀志山山域にも雪をもたらせたようだ。積雪は3センチに達している。


久しぶりに古賀志山の山頂に立った。1月6日以来だ。
昼時には早いのでお孫さんを連れたご婦人と年配夫婦がくつろいでいるだけ。


先を急ぐので古賀志山をさっと通過して御嶽山へと向かう。
ここは昨年3月、滑落事故でハイカーが亡くなった岩場。岩を避けて巻道を歩く方が無難。


古賀志山は展望が良くないが御嶽山は東から北まで見通せるから管理人はこちらの方が好き。
日光連山を眺めながら菓子パンでエネルギー補給だ。


これから先、急な下りになるので大事を取ってチェーンスパイクを装着しスリップに備える。


正式名称ではないが、地元の人からカミソリ岩と呼ばれている高さ5メートルほどの岩場。
有志が設置した古い鎖とロープの他に、古賀志山を守ろう会の手により新しい鎖が取り付けられている。
ここは鎖もロープも使わずに登ってみる。


アップダウンを繰り返しながら中岩に到着。ここも展望がいい。


中岩から、多気山を通して宇都宮市街を望む。


二尊岩を通過。
大きな岩がふたつ並んでいて、地蔵菩薩と不動明王に見立てて崇められたことから名がついたそうだ。
先月、ここで年配男性が滑落して死に至ったとのニュースがあった。
二尊岩について詳しい説明があります→こちら


古賀志山から続く主稜線も2/3に達した。
初めての岩場を命がけでよじ登ったためか、ここまで3時間半近くかかってしまった。
まずは今日2回目のエネルギー補給。菓子パンとコロッケを腹に入れた。


主稜線最後のピーク、北ノ峰(433メートル)。四等三角点がある。


馬蹄形ルートは北ノ峰から急に厳しくなる。
これまでのアップダウンとは比べものにならないほどだ。
ルートがわかりづらいのも主稜線とは異なる。
遠く、白根山を眺めてしばし休憩。


急降下の途中で1番を見つけた。
めったに人が歩かない馬蹄形ルートにも現在地番号がつけられている。
いずれ1番から27番まで、日帰り完全踏破をやってみよう(笑)


画像左上から来て急な岩場を下る。


急降下を終えるとこのようなプレートが見つかる。
左に垂直の大きな岩が続いていて途中の岩窟に無縫塔と呼ばれる坊さんの墓が祀られている。
馬蹄形はこのプレートを正面に見て、緩やかな斜面を下っていく。不明瞭な踏跡を丹念に追いながら、次にプレハブ小屋を探すのがポイントである。


踏跡は目を凝らさなければ見えないほどうっすら付いているだけ。


おっ、ミツマタだ。


馬蹄形のランドマークともいえるプレハブ小屋を発見。
しかし、これからまだ大変なのだ。
ざっと説明すると、小屋の裏側に回り込んで左に曲がり、大きな檜が見つかったら右へ曲がる。次に林道を渡って藪に入り、土砂が堆積した沢(工事中)を渡って再び林道に出たら横断し、腰掛岩への道を進む。となるわけだが、実際はそれほど簡単ではない。


1本目の林道は伐採作業の現場と化し、前回とは様相がガラッと変わっていた。


ピーク444の中腹が崩落し、土砂が堆積した沢を渡る。
あちこちで工事車両が動いているので注意。


2本目の林道を渡ってお次は腰掛岩への道だ。
ここに見える道は途中で途切れるので、茂みの間から尾根を探す。3本ある尾根のどれかを高みへと登っていく。3本の尾根は腰掛岩で収束する。


こんな雰囲気になると間もなく腰掛岩。


地理院地図を見ればわかるが腰掛岩はピーク444から南西に下る尾根の、岩記号の一番外れの部分。
下から登ってくる場合、尾根のどこかに出るはずなので、尾根をピーク444とは反対方向(西)に下っていくと腰掛岩に出合う。


腰掛岩で進路を東に変えて10分ほど歩くとピーク444だ。
傾斜は緩やかで丘状のピークに石の祠がある。道標はない。


なんとまぁ、ヤマツツジが蕾をつけている。


これはタヌキの糞ですね。
一度にこれだけ多くの糞をするわけではなく、いわゆる溜め糞。タヌキのトイレですな。


尾根は途中で途絶え、そこにロープが下がっている。
尾根はロープで下りて一段下がったところにつながっている。
目指すは正面の三角形へ。


上の画像の三角形に達してからあとが難しい。
今日初めて、地図とコンパスを取りだした。
馬蹄形を歩くのは今日で7回目だが、ここらは地形が複雑で、小ピークから派生する尾根がいくつもあってわかりづらい。今日も一箇所、地図を見ながら右往左往。遭難するかと思った(笑)


延々と続く急斜面を登り終えてようやく手岡分岐に着いた。
ここは日光市手岡(ちょうか)に属しているので識別のために管理人が勝手に付けた名である。ちなみに腰掛岩からここまで、完全に日光市に属している。
足は重くストックに頼るようになったのもこの手前からだった。
このときの足への負担がこの先で腸脛靭帯炎の痛みとなって表れた。
道はここで古賀志山(右)と鞍掛山(左)に分かれる。あわよくば鞍掛山を廻って20キロ歩こうとも思ったが、膝の痛みに耐えかねて古賀志山へと向かった。


古賀志山へ南下する途中、ピーク559手前に分岐がある。
直進すると5分でピーク559、右へ下ると古賀志山へ行く。


痛む膝を杖をついてかばう。
管理人愛用の杖はT型グリップのもので、長さはピッケルに合わせて70センチにしてある。一般的なストックはグリップを横から握るために腕の力が発揮できないが、T型グリップは上から握るため腕の力が地面に対して直接加わる。30度を超えるような斜面には効果的だ。


夕暮れが近づいてきた。
振り向くと二股山(鹿沼市)の空が薄い朱色に染まっている。
12月だったらこの時間、すでに日没になっているが、陽が延びていることを実感した。


富士見峠。
直進すると古賀志山だが疲れもピークに達しているので、ここから北コースで降りることにした。


傾斜が緩んで膝への負担も軽くなり、痛みも和らぐ。


地元の人の憩いの場として使われている、通称「広場」。
当然ながらこの時間、だれもいない。


ふ~、歩き始めて8時間、ようやく戻れた。今日はとっても厳しかっただよ。


読図ができない人に馬蹄形ルートはお勧めできませんが、危険を最小に抑えることを目的に地図と注意事項を掲載しておきます。黒枠が間違いやすい場所。
また、危険な岩場が数カ所ありますが巻道もないので細心の注意が必要です。危険だと思ったら引き返すこと、それがもっとも賞賛に値することだと思います。

7回目の馬蹄形は腸脛靭帯炎発症で杖つきながら下山(涙)。」への2件のフィードバック

  1. まっちゃん

    長歩き。お疲れ様でした。
    歩き込んでいるとそれなりに体力の充実を感じるものですが、
    デスクワークの日々は一瞬にして体力を奪うもの。
    晴耕雨読じゃないですが、そんな日々を送りたくても、仕事が立て込んで
    いる日は快晴。休みの日は悪天候という可能性が高いのが常。
    まぁ、そいいう障害があるから休みと天気が一致した時の喜びもあるのでしょうけど(笑)

    古賀志山馬蹄形はコンプリートが一回。中途半端な周回が確か二回かな。
    444mp付近は岩崎から南に登って牧場山から北に周回したことがありました。
    当時はよほどの好きものしか歩かなかった雰囲気でしたが、最近は道標や山名板
    などが整備されて隔世の感があります。
    沢山の方が安全に楽しむことが出来るのは良いことですが、案外この山って難しい箇所が
    多いような気もします。事故が絶えないのも、気安さとのギャップなのかもしれませんね。

    1. 亀歩き 投稿作成者

      こんにちは。
      古賀志山は宇都宮の低山として昔から地元の人に親しまれている山で、日参する人が多いですね。
      垂直の岩、鎖場、緩急取り混ぜた斜面、沢、石仏や祠、多様な植物などバラエティに富んでいて、山のエッセンスがギュッと詰め込まれている山のような感じがします。
      中でも馬蹄形は多くの要素が取り込まれ、私には読図能力の向上と体力測定にもってこいのコースです。
      今回は久しぶりの歩きであったためかなりバテましたが、定期的に挑戦するのもいいですね。また、その意欲をかき立てられるコースと言えます。

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