読図の練習で古賀志山のP444から岩崎観音へ(一部、馬蹄形)。

2016年12月19日(月) 晴れ

林道背中当線・籠岩入口~籠岩~無縫塔~林道内倉線~腰掛岩~P444~P408~P359~岩崎観音~県道を徒歩で戻る
本日の歩行距離:岩崎観音まで6キロ。車を取りに戻るのに県道を3キロ、計9キロ。

100以上あるとされる古賀志山のバリエーションルートをすべて歩くことを目標に、地図と睨めっこしながら未踏のバリエーションルートを探しては次回の予定としているが、それもずいぶん残り少なくなってきたように見える(下図)。

見えるというのは今、PCに映し出した地図を見ているからで、地図には歩き終えた後のGPSのログが再現されている。ログを赤線で再現させるようにしているからなのだが、地図の上をまるでミミズがのたくっているかのように、古賀志山山域を赤線が埋めている。
ところが、赤線が描かれていない部分を子細に眺めると、ところどころにまだ歩いていない空白地帯が見つかる。とはいっても沢や林道などは歩いてもつまらないので、目で探すのはもっぱらピークとピークを結ぶ稜線である。


先日目にしたのは、古賀志山の北西2キロにあるピーク444から北に向かって延びる尾根で、尾根の末端のお寺記号(卍)まで、5つのピークが連なりそこそこ楽しめそうな感じだ。距離を測ってみるとピーク444から2キロもある立派な稜線である(下図の青線)。藪でない限りいや、藪だとしてもこの時期は冬枯れで木々には葉がないから見通しがいいし、枝をかき分けながら歩くことはないはずだ。それに5つのピークのうち、ピーク408.8には三角点記号がついている。期待が裏切られることはないであろう。
とはいえ、歩いていたらいきなり崖に出くわしてにっちもさっちもいかなくなるというのが古賀志山の常のことなので、安全のために8ミリ20メートルのロープをザックに詰めた。
古賀志山山域のバリエーションルートを歩き尽くしたい管理人としては、わくわくどきどきの未踏ルートである。

なお、今日の本命となる未踏ルートは時間が読めない。そこで、ピーク444までの時間を短縮し、残った時間を有効に使うようにした。そのためには県道70号線から林道背中当線に入り、最初の目標地を籠岩とした。


県道70号線を文挟から宇都宮へ向かって走ると途中、なん本もの枝道がある。
奥まったところにある農家への道であったり工事中の道であったり林業用の道であったりして、それを見極めるのは難しいが、これまでの経験でなんとなく区別がつくようになった。
ここは県道70号線から入ってすぐのところ、背中当線という林道。


林道背中当線に入ってすぐ、道は分岐する。
目指す籠岩はこの道標にしたがって進む。
この写真を撮るときに気がついたのだが、道標の支柱に近い部分が変形している。かなり強い力が加わったようだが重機がぶつかりでもしたのだろうか。それとも例の人物による人為的なものなのだろうか。


道標にしたがって進んでいくと砂利が敷かれた林道から分岐して林に入る道がある。
どうしてもいい道に行きたくなるがここはぐっと我慢して林に入っていく。


葉が茂っている時期だと藪こぎを強いられそうな踏跡。
実際、夏はこんな感じ→こちら


籠岩への道のりは最大斜度30度を超える急斜面。足にかなり負担がかかり悲鳴が漏れる。


ここまで広い斜面をひたすら登ってきたが、ここまで来てなんとなく尾根らしい地形に変わった。
籠岩はもうすぐだろうと思う。


籠岩の基部に達した。
ここは標高370メートル。地図によると標高370メートルから標高400メートルに渡って岩記号が描かれている。10メートル以上の岩が連なっているのだ。


岩の基部に沿って左へ回り込んでいくが路幅は30センチに満たない。怖いッすね~。


ロープが出てきたができるだけ使わず、両手両足を使ってカエルが這うようにしてよじ登っていく。


お~。
男体山とその左に真っ白な白根山が、、、


これが籠岩だが感じとして、先ほど出合った巨大な岩塊の一部のような気がする。


今日の予定のルートだと籠岩から先は難ルートの通称馬蹄形と呼ばれるルートの一部を歩くことになるわけだが、今日はピーク432.7(北ノ峰)の手前で無縫塔へ下り、それから作業小屋→腰掛岩→ピーク444へと向かうことにする。


まずは無縫塔へ。
落ち葉が積もった急斜面を下るが対策をとらないと滑って尻餅をつくこと必至という場所である。

落ち葉対策のキモはこのチェーンスパイクだろう。
脚力が衰え力が入らない管理人にとって必須となる道具である。
ストックは高齢者がよく使っている取っ手がT型になっているものを愛用。正直言って、ストレートタイプのトレッキングポールは30度を超えるような急斜面では役に立たない。T型とストレートでは持ち方が異なり、ストレートだと地面に対して突く力が弱いのだ。それに比べてT型は、グリップを真上から握るため地面に対して腕の力が直に伝わるという利点がある。それに、1本で十分、効果を発揮する。もう片方の腕がフリーになるというのもいい。
ピッケルを使ったことがある人であればその有用性がわかると思うが、管理人は無雪期でもピッケルを使いたいと思っている。ただし、ピッケルは冬山用だと思われているため無雪期に使うのは気が引ける。
そこでピッケルの有用性と使いやすさを追求(というほど大袈裟なものではありませんが・笑)した結果がこの「杖」になったのである。


備えは万全。ではこれから、落ち葉の積もった急斜面をチェーンスパイクで下っていく。


薄い踏跡にしたがって下っていくと右手に巨大な岩壁が見えてくる。


岩壁の基部、地上から3メートルほどの高さに天然の岩窟があり、中に無縫塔というお坊さんの墓が納められている。
その大きさゆえに地元の人に神宿る岩として崇められ、そこに坊さんの墓が収められたのはごく自然なことのように思える。


さあ、ここから探し物。
見つからないとそれは道迷いをしていることになる。


無事に発見(笑)
探していたのは今は使われていないプレハブの作業小屋である。馬蹄形ルートを歩く上で見落としてはならない重要なポイントだ。
馬蹄形ルートのランドマークと言うべき目標物がこの小屋なのである。
あ~それと余計なことだけど、ここは不気味だよ。廃屋だけとなんかいそうな気配、、、


作業小屋の脇をすり抜けるとこのようなプレートがあるので間違うことはないと思うが、左へ曲がって5分ほど歩いたら今度は右へ直角に曲がるのが正しい馬蹄形ルート。


プレートにあった林道内倉線に合流、とそう簡単にはいかない(笑)
2本の道(1本は林道、もう1本は水路)を横切り、3本目がこの内倉線だ。2本目は正確には武子川が流れる水路を指す。水路は昨年9月の豪雨でピーク444のすそ野が崩落して埋まり、そのせいで今は土砂が堆積して幅20メートルほど道のようになっている。現在は工事がおこなわれている。
話が逸れたが次の目標地点となる腰掛岩はこの内倉線を横切り、画像正面の林に入っていく。


林道内倉線から腰掛岩へは3つの尾根を選べる。
東に位置する尾根がもっとも明瞭で歩きやすく、その西側に尾根が2つある。西側の尾根は藪になると同時に傾斜も厳しくなる。
今日は中央の尾根を選んでみた。


やっとの思いで腰掛岩に到着。
ここは眺めがよく休憩に最適。
ちょうど昼時になったので日光連山を眺めながらここで昼食にした。
その前に、急斜面の登りで汗をかいたのでジャケットを脱ぐ。下半身は汗でびっしょりなのでアンダータイツも脱ぐことに。


腰掛岩でくつろいでからピーク444に移動。
馬蹄形ルート歩きはここで終わりになり、ここからいよいよ未踏ルート歩きだ。
石の祠の裏側がこれから歩くルート。さてどんな苦難が待ち受けているのだろう。


ピーク444からこれから向かう北尾根を見る。
ピーク444はこれまで6回、通過したことがあるが、北に向かってルートがあることなど気がつかなかった。わかりやすいではないか。それにおそれていた藪ではない。


地図にあるとおり、鉄塔のすぐ脇を通過。


鉄塔の周囲が藪になっていたがまたすぐ明瞭な道に変わった。
誰も歩きそうにないこんな道にも赤リボンがありました。


ピーク408.8に到着。
三等三角点がある。


三角点のすぐ脇に石の祠があり、そこから岩崎(日光市の町の名前)の町並みがよく見える。


むむっ、垂直の岩(^^;)
三角点を過ぎるとさっそく難所が待ち受けていた。
ロープはかかっているが地面が見えない。大丈夫かい(笑)
地図上で見る限り、まさかこのような断崖があることなど想像できない。
10メートル未満の大きさの岩や落差の断崖は地図ではその存在がわからないから困る。これが古賀志山の怖いところだ。短足を悔やみながら慎重に下りたのはもちろんのことだ。


あらかじめ進路をマークした紙地図を見ると尾根はここで真西に向かうようになる。
尾根も踏跡も明瞭なので迷うことはなさそうだがそこは古賀志山、踏跡が分岐していることを想定し、進行方向に向かってコンパスをセット。


傾斜が弱まりピーク359の近くまで来たことを知る。
檜林の中の道だがよく手入れがされていて明るい。


ここがピーク359らしい。
石の祠があってその後に三峰山という山名板がある。初めて聞く名前だ。


今度は北に向かって90度、進路が変わる。


大きな石の祠と遭遇、かなり歴史がありそう。
地図を見るとこの下あたりがお寺記号になっているが降り方がわからない。道がないのだ。
でもここに祠があるということは、これを担いで登ってきた道があるはずだ。5分ほど右往左往したところ、えっこれが道か、と思うような斜面が見つかった。


斜面を下ると大きな建物が見え、その右に急な階段がある。
ここは当然行ってみるべきだ。


うひょ~、すげぇ!!
大きな岩窟の中に建物が、、、


岩窟内の建物には階段があって最奥まで入ることができる。
すると立派な観音像と出逢った。といっても内部は暗く肉眼では見ることができない。カメラに収めて初めて、観音像だとわかった。


日光連山をバックに住宅街が見える。あれは文挟の町並みだろうか。


なるほどねぇ、先ほど見た像がこれなのか。
県道沿いに岩崎神社というのがあるがそれとは別物で、ここは初めてだ。県道から脇道を入った場所にあるので気づかずにいた。
ちなみに岩崎というのは日光市(旧今市市)の町の名前。

読図の練習で古賀志山のP444から岩崎観音へ(一部、馬蹄形)。」への2件のフィードバック

  1. さとし

    いつも古賀志の貴重な情報をありがたく拝見させて頂いております、因みにですがこの岩崎観世音のすぐ向かいに観世音蕎麦 下の家というお蕎麦屋さんがあり、完熟冷温蕎麦を謳いとても美味しかった記憶があります、
    余談でした。

    返信
    1. 亀歩き 投稿作成者

      さとし様
      こんにちは。コメントをありがとうございます。

      岩崎観音側に下山して歩き始めたところ、広い敷地にプレハブの小屋が建っていたのを目にしましたが、蕎麦屋さんとは気がつかず、そのまま車を取りに古賀志山方向へ向かいました。
      面白いルートだったので暖かくなったらもう一度、歩くつもりですが、その際にはぜひ立ち寄ってお勧めのお蕎麦を食べてみたいと思います。
      貴重な情報をありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

      返信

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