夢やぶれし檜枝岐への道。仕方なく、途中で見つけた無名の山でお茶を濁すw

2016年9月30日(金) 晴れのち曇り

予報通り、晴れた。何日ぶりの青空だろうか。よくぞ晴れてくださったと、天に向かって感謝してもいいくらいの青空だ。
なんだかとても懐かしいと感じるのは青空なんかこの一、二週間いや、もっと長い間見ていないからだと思う。
それほど今年の天候がおかしなことになっているわけで霧降高原に住み、春から秋は霧の中で生活せざるを得ない特殊なエリアとはいえ、これほど青空を見ない日が続くというのは十数年ぶりだ。

今日、晴れることは昨夜の予報でわかっていた。この貴重な日をなんとか有効に活用したい。
当然、山歩きだろう。
といっても宿泊のお客さんのチェックアウトを待たないと出かけることはできないので山歩きに充てる時間は限られてしまう。
いつものように古賀志山にしようか?
古賀志山なら遅く出てもたっぷり歩くことができる。ただなぁ、大方のルートは歩いてしまっているので楽しむには100通りのバリエーションルートから時間に見合ったルートを選ばなくてはいけないし、考えるのも面倒な気がする。

そこでふと、先月15日に登った福島県境の帝釈山を思い出した。
猿倉登山口から歩き始めて田代山湿原を経由して登ったのだが、その計画段階で、帝釈山にわずか1時間で登れるルートがあることをガイドブックで知った。それをやってみようと、いつものことながら突然、思いついた。

登山口は帝釈山の南にある馬坂峠。
移動時間を2時間と見積もっても山頂まで3時間だから、9時に出発しても日没までには時間はたっぷりある。
馬坂峠へは福島県の檜枝岐から馬坂林道を向かうのが一般的らしいが地図を見るとその林道は栗山(日光市)へと続いている。
日光から行く場合は栗山を経て前回、帝釈山の登山口にした猿倉口へ県道249号線を走り、途中で馬坂林道に乗り換えて馬坂峠そして、檜枝岐へ、ということになる。
日光と檜枝岐がほぼ直線的に道路で結ばれているという事実、これは大発見といってもいい。檜枝岐は尾瀬の入口なのだ。
これまで国道にばかり目をとられていたが林道を利用して最短距離で檜枝岐へ出られるのなら尾瀬沼や尾瀬ヶ原はもちろんのこと、駒ヶ岳や燧ヶ岳はぐっと近くなる。

ただし、馬坂林道は地図記号でいう黒の細線すなわち軽車道という扱いなので道幅3メートルに満たない。路肩の一部でも崩れたりした場合など通行止め間違いないという狭い道なのでそれを念頭に置いて向かわなくてはならない。だが、もしも通行止めになっている箇所がなく、すんなり走ることができれば日光から檜枝岐への最短ルートになる。
よしっ、今日は帝釈山に登るのは二の次にして、馬坂林道の状況を把握するのを主目的として、無事に馬坂峠にたどり着いたら帝釈山に登ってみよう。いや、檜枝岐に行くのもいい。

一方、冷静になって考えてみると、首都圏から尾瀬へ行くのに皆さん、片品や会津から入っているわけで、上に書いたように日光から馬坂峠を経て檜枝岐に出て、尾瀬に行ったという話を聞いたことがない。それが可能であるならガイドブックには必ずその旨の記載があるはずなのだ。それがないということは、、、、
まっ、そこのところは行ってみてのお楽しみということにして、さっそく出かけることにした。


日光から南会津・檜枝岐へ抜けるには、霧降高原→栗山→土呂部(どろぶ)へと走る。栗山から先、249号線は途中で県道350号線に変わりこれが別名、猿倉林道で猿倉峠から田代山を経て帝釈山へ行ける。先月15日はそこに車を置いて歩き始めた。

今日は猿倉林道と平行する馬坂林道を走って帝釈山南方の登山口、馬坂峠まで行くつもりで車を走らせた。馬坂林道は猿倉林道入口の約4キロ先が始まりとなる。
冒頭に書いたようにその馬坂林道が通行できれば日光から檜枝岐への最短ルートになるはずである。地図の上では。

猿倉林道と馬坂林道への分岐には遮断機が設置されていて土砂崩れがあった場合に遮断機を閉じて、工事関係者の車以外は通行止めにする。遮断機は特殊な鍵を使ってロックがかかるようになっていて、閉じていると人力で開けるのは困難だ。
この日は幸い、遮断機は開いていた。
おぉ、これで檜枝岐へ行けるんだ、と思ったのはぬか喜びで4キロ先の馬坂林道入口に着いたところに別の遮断機があった。
遮断機は閉じていてしっかりとロックされていた。
先ほどの分岐の遮断機が閉じていたならわざわざここまで来ることもなかったのに、その間の4キロはいったい、なんのための開放区間なのだろう。戻る必要に迫られた。

車を降りて遮断機に近寄って案内板を見ても通行止めの理由は書かれていない。通行止めの期間を示す部分は空白だから工事をしている様子でもない。
すなわち、この林道は永久に閉鎖。それしか考えようがない。
やがて地図から消え去る日が来ることを暗示しているようだ(上の画像)。


馬坂林道は通れないことがわかった。
現地の荒れ様から、通れるようになる日は永遠に訪れないのであろうと察する。
日光から檜枝岐へ直接行けるなどというのは、やはり夢物語でしかなかったのだ。

時間は13時に近い。
檜枝岐も帝釈山も諦めて、ドライブで時間をつぶすことを考えた。
350号線を戻り、249号線を湯西川へ向かってみた。
車を置くのに十分なスペースがあればそこで昼食にするつもりだった。

湯西川の温泉街を過ぎて間もなく「安ヶ森」へ向かう林道を入った。
馬坂林道、猿倉林道の他に、国道を使わずに福島県に入るもう1本の道が安ヶ森峠へ向かう安ヶ森林道である。こうなったらもう、なにがなんでも福島県への侵入いや、進入を試みようという管理人なのであるw

林道を福島県に向かっていると突然、ログ風の大きな建物が出現した。
建物を右手に見ながら奥へと進んでいくとここでも通行止めに出合った。
遮断機ではなかったが、土砂崩れのため通行禁止という立て看が道をふさいでいる。これで馬坂林道、猿倉林道、安ヶ森林道のうち、福島県に通じる道は猿倉林道しかないことがわかった。
建物まで戻り、駐車場で菓子パンをかじり缶コーヒーを飲んで昼食とした。

それにしてもなぜこんな奥まった場所に立派な建物がありトイレがあり、駐車場があるのかといぶかしんだが、あとで調べると日光市自然体験交流センター「安らぎの森四季」だそうだ。
平成20年のオープンなのでバブル崩壊から現在に至る不況の中での投資だ。それなりの利用者を見込んだ上でとは思うが採算は取れているのだろうか、、、、と日光市民として余計な心配を。

まっ、それはともかくとして建物前の草地の奥に鳥居があり、参道のような階段が見える。


鳥居の奥には割と形の整った山が控えている。
あの鳥居をくぐり参道を歩いていけばあの山に登れるのだろうか?
せっかく目の前に山がそびえてる(というほど高くはなさそうだが)のだから登らないで帰るのも罰が当たりそうだ。
といって目的外の行動なので地図はなし、ちょっと心細い。迷子だけは避けたいものだ。


ナナカマドが真っ赤だ。


ひょ~、ウメバチソウが咲いてる!


鳥居の額には「大山祇大神」と刻まれている。
う~む、祇を「づみ」と読ませるのかぁ。
これも帰って調べたところ、「祇」は地の神、土地の神を表すそうだ。


鳥居の脇に案内板があった。
体験センターらしく、いろいろな名前のコースが設けられている。
どれも山頂には向かっていないが山頂にもっとも近いのはB5からB8にかけてのルートのようだ。
よしっ、とりあえずB5からB8のどこかでコースと別れて山頂に向かってみよう。


一直線に続く階段。
結構な傾斜ですこと。


階段の終わりに社があった。
これが大山祇大神なのでしょうね。
案内板にあったコースはこの手前で向きを変え、社の裏を回るようにして上へと向かっている。


山頂へ向かうのはこの辺りがいいかな?
下草が少ないので歩きやすそうな感じ。


登るにつれて傾斜が、、、息が上がってきた。


おやまぁ、ピンクのリボンが、、、
ちぎれて木の枝から落ちたのだと思うがこんな山に登る人がいるということか?


とうちょ~(笑)
東面から登って南北に延びる尾根にぶつかり、ここがもっとも高いので山頂なのだと思う。
山頂の位置は案内板にある「第3テントサイト」の北あたりだろうか。
地図は持っていないので無闇に歩きまわるのはやめて早々に下山することにした。
ただし同じ方向に下りるのもつまらないと思うので第3テントサイトに向かって尾根を南へ下ることにした。


歩き始めてまだ1時間半しか経っていないというのに日は陰り、薄ぼんやりした景色に見える。


狂い咲きのヤマツツジ。


道が見えてきたがあれが第3テントサイトあたりだろうか?


おそらく駐車場へ続く道だろうと思うが左は舗装されている。


まるでイチゴのようなヤマボウシの実。


帰宅してGPSのログを地図上に再現してみたのが上。
駐車場から見上げるとなだらかに見えたが、標高差は380メートルあり古賀志山よりも大きかった(笑)
熊の糞とおぼしき塊を2箇所で見た。山栗が多数、落ちていたし、ここは日光なので熊がいても不思議ではない。
迷子にならずに下山できたことよりも熊と出遭わなかったのが幸いであった。


登山が終わったらGPSのログをフリーソフト「カシミール3D」に落とし、歩いた跡を地図で確認するのを長年の習慣としている。
モニタに映る地図と歩いた跡を俯瞰することでその山の全体像が把握できる。地図に描かれた道と実際に歩いた道とのずれを見つけたときなど、その理由を考察するのはとても楽しい。
地図に道が描かれていない山を登った後の軌跡は貴重な産物となり、次の山歩きの計画に大いに役に立つ。

今回、まったく無名の山に登ったわけだが周辺の情報をネットで調べてみると、実に興味深いことがわかった。
南北に延びている尾根を北へ辿っていくと3つのピーク(1162→1210三角点→1197)を通り、福島県境に至る。その県境こそ、降った雨を太平洋と日本海に分ける境目、中央分水嶺なのだそうだ。
同じ場所なのに一滴の雨水は太平洋側に、別の一滴は日本海側に向かって流れる、その境目となるのが分水嶺で、北海道・宗谷岬から九州・佐多岬まで全長約5000kmにおよぶその一部が栃木県と福島県との県境にあるらしい。

なるほど、地図の境界線記号に気をとられてわからなかったが境界線記号の下は数十キロにもわたって稜線が続いている。それを帝釈山脈と呼ぶらしい。
いま、この時間、この稜線上のどこかできっと雨が降っているはずだ。
その雨は稜線を境に東西南北のどちらかに流れて太平洋か日本海に注ぐ、そんな想像をしていると気持ちがわくわくする。檜枝岐には行けなかったが、素晴らしい発見をした。

地図とネットはいろんなことを教えてくれる。
管理人、これまで漫然と山を登ってきたが、修験の道にある山、三つの県にまたがる山、中央分水嶺にある山など、百名山とは違った趣のある山が身近にあることを知り、それを目的に山に登るのも励みになりそうな気がする。難易度は高くなる一方だが、、、

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