悲願の『錫ヶ岳』日帰り。あまりの厳しさに精根尽き果てるも無事に生還。

2016年6月27日(月) 晴れのち濃霧

5:23/湯元スキー場~7:12/外山鞍部~7:37/天狗平~8:01/前白根山~8:21/避難小屋分岐~9:11/白根隠山~9:43/白桧岳(25分休憩)~10:45/P2296~11:17/錫の水場案内板~11:23/標高点2170~12:17/錫ヶ岳~13:12/標高点2170~13:25/錫の水場で給水~14:09/P2296~14:57/白桧岳~15:26/白根隠山~15:58/避難小屋分岐~16:19/前白根山~16:43/天狗平~17:00/外山鞍部~18:39/湯元
※全行程:22キロ
※所要時間:13時間16分(ただし、上記各ポイントで5~10分の休憩を含む)
※累積標高:2485メートル(GPSの記録を元にカシミール3Dで算出)


2012年7月4日、白錫尾根からの男体山と中禅寺湖

『事前調査』
前白根山から錫ヶ岳へと延びる緩やかな稜線、通称、白錫尾根は4年前の7月に白桧岳まで歩いている。錫ヶ岳の下見のつもりだった。→2012年7月4日の様子
眺望がじつに素晴らしかった。
男体山を目の高さあるいは、それよりも低く眺め、その足下には一周25キロもある大きな中禅寺湖が広がっている。
大真名子山と小真名子山、太郎山が見える。中禅寺湖の西には西ノ湖の、水を満々とたたえた姿が美しかった。絶景と言っていい。

map今日、錫ヶ岳へ行くにあたり4年前と違うのは、白桧岳から先が未経験のルートであることだ。
地図を見る限り、難しくはない。ただし、距離が長い。白桧岳から片道3.5キロもある。
白桧岳から高度を下げながら地図にある標高点を2つ越え、3つ目のピークが錫ヶ岳だ。錫ヶ岳の手前に等高線が詰まった急登があるが標高差は200メートル、これは頑張ればなんとかなるだろう。
藪などの障害物がないと仮定して時速2キロのペースで1時間半、白桧岳から往復3時間はかかる。

4年前の記録そして、今年になって2度歩いた前白根山の記録を元に行程時間を大まかに推定してみると、湯元~180分~前白根山~90分~白桧岳~90分~錫ヶ岳となり、片道で6時間だ。
ただし、推定なので最低、6時間と見るべきでありこれは霧降から女峰山へ行くよりも長い。
霧降~女峰山はこれまで5回、経験しているから時間が読める。錫ヶ岳は初挑戦にして女峰山よりも距離が長いのだ。それが最大の懸念材料になる。

このルートを選定した理由

『登山前』
長丁場なので4時に湯元をスタートする予定であった。
そのため自宅からの移動時間を節約するため前夜は湯元で車中泊することにした。寝る環境が変わっても熟睡できる自信が管理人にはあった。それは長年にわたるキャンプ生活で身につけたものだ。
携帯電話のアラームを3時に設定し寝袋に潜り込んだが寝付けず、こんなときのためにと持参した睡眠導入剤を服用したもののそれでも眠気は来ない。

明日、初めて歩くルートの難易度のことが頭から離れず、気が高ぶっているのであろう。背もたれを倒して簡易ベッドにしたシートの凸凹が身体に馴染めず、それも安眠を妨げることになったようだ。
テント内で寝ること長じて、キャンピングカーで寝る生活ははるか昔のことであり、すでに身体が受け付けなくなっていたのだ。

うとうとしかかったところでアラームが鳴った。予定の3時だった。しかし、睡眠導入剤はまだ効いていて頭はボーッとしていた。
無理だ。こんな状態では歩けない。せめて薬の効果が切れるまで待とう。
目を一瞬、閉じたらそのまま寝てしまったようだ。だが、頭の片隅では予定の起床時間を過ぎていることが気になっていたのか、アラームをかけていないのに4時に目覚めた。浅い眠りであったが3時間は眠れたのであろうか。

実際の出発までにそれから1時間20分も要したのは、これをやっておかないと気が済まないという、管理人にとっての儀式のようなものが盛り込まれているからだ。
すなわち、腸脛靭帯部分へのテーピング、膝とかかとへのサポーターの装着。着替えて朝食の準備。昨夜のうちにコンビニで買っておいたオニギリをコッフェルに入れ、野菜入りの乾燥スープを使って雑炊を作って食べた。雑炊の水は多めの500ミリにした。山行前の水分補給を兼ねたつもりだ。
歯磨きもきちんとしたしトイレも済ませた。

儀式は多くの項目で成り立っているが、ひとつの組合せによるもので登山がうまくいくと、しばらくの間、同じ組合せが続く。それは山行にあたっての管理人のジンクス、縁起担ぎのようなものであり、これをきちんとやらないと事故が起きそうな気がして落ち着かない。まっ、早い話が小心で臆病なんですね。それとも信心深いのかなぁ(^^)
それから車を登山口に最も近い、スキー場脇の駐車場に移動して登山靴を履いた。
あっ、いけねっ。儀式のひとつ、顔を洗っていなかったw


Impression
『白桧岳から錫ヶ岳へ』
白桧岳へ行くにはいくつかのルートがある。
そのどれも魅力的なのだが錫ヶ岳初挑戦の今日は、前白根山まで行くのに歩き慣れている湯元からにした。
スキー場を抜けて外山鞍部、天狗平を経て前白根山に達し、それから白錫尾根を歩いて予定の4時間30分を少し下回る、4時間23分で白桧岳に達した。ただし、7分は誤差の範囲。
白桧岳の手前は笹原だが踏跡はしっかりしていて歩き易い。しかし、そこからが厳しかった。
笹は膝まである。踏跡はあるのだが笹によって覆い隠されていて見えない。救いは目印となる赤テープと木に取り付けられたブリキ板そして、木の枝に塗布された赤色のペンキだ。地図を見る代わりに目印を見つけることに神経を集中することにした。
踏跡にかぶった笹を足で払いながら進むのはかなりの力を必要とした。コメツガの藪も始末が悪い。枝が顔の前にあるので両手で払い避けながら進まなくてはならず、これも疲れる。
どちらにしても踏跡を見逃さないように、丁寧に歩く必要に迫られた。
笹が踏跡上に倒れているのが見えず、不用意に靴を載せたらスリップし、横倒しとなった。泥濘部分で同じくスリップしてやはり横倒しとなった。笹に隠された倒木に足を取られて、顔から前に倒れた。
ときおり現れるコメツガの深い樹林帯は下草が生えてなく、これは救いとなった。
藪が終わり急登が始まったのでこれを登れば錫ヶ岳の山頂であろうと想像できた。笹藪を抜けてコメツガの樹林帯に入ると傾斜が緩くなりそこが山頂であった。
コメツガの木の地上2メートルの高さに山名板が取り付けられていた。
山頂はのっぺりしたコメツガ林の中にあり、展望は東面のみ。そこから男体山と中禅寺湖が望めるから想像していたほど悪くはない。ただし、山頂は狭く10人も立てば埋まってしまうほどだ。
山頂からさらに境界線に沿って南へと道が延びている。
地図を追うと宿堂坊山を経て皇海山に行けるようだ。しかし、その距離たるや半端ではない。途中、幕営は避けられない。とても行く気にはなれない。

『錫ヶ岳から避難小屋分岐へ』
錫ヶ岳から白桧岳までの藪を抜けると疲れがどっと出た。
藪をかき分けて進むのは力がいる。これを行きと帰りにやったわけだ。
白根隠山本峰から北峰にかけてのなだらかな斜面でさえ、足が重い。
辺り一面、霧が立ちこめている。この霧がいつ雨に変わるとも限らない空の色だ。
前白根山が目前に迫ってきた。
朝、通過した避難小屋への道標前まで来た。疲れはさらに増し、足が前に出ない。
直進すると前白根山、左へ下ると10分で五色沼避難小屋がある。いま、その分岐にいる。

160602-128

五色沼避難小屋(2016/06/02)

テントも寝袋もマットも持参している。食料も水もまだ充分、残っている。保温着もある。
錫ヶ岳は長丁場なので非常時に野営することを想定して、重くなるのを覚悟の上でもってきたのだ。
ここから10分も歩けば避難小屋だ。なにも辛い思いをしてまで今日、下山することはないのだ。このまま避難小屋に駆け込めば足を延ばして横になれる。そして寝不足を補うためにも十分な睡眠をとり、明日の朝、ゆっくり下山すればいい。
今日の山行はオマエの能力をはるかに超えたものだろう、疲れてるんだから無理すんなよ。
どうして、そこまで日帰りにこだわってるんだ?
錫ヶ岳登頂という目的は達したのだから、それで満足すべきじゃないのかね?
さあ、避難小屋へ駆け込んでメシでも食って早く寝ろよ。

いや、錫ヶ岳日帰りは長年の夢であり目標だった。そう簡単に撤回するわけにはいかないのだ。
小屋に泊まれば楽であることは初めからわかってる。
だけどオレは、そんな簡単な登山はしたくない。
難易度が高い山を日帰りでやることに意義があるんだ。
ここまで戻ってきたんだから這ってでも帰ってやる。

自問自答はしばらく続いた。
葛藤があった。
避難小屋に泊まって翌日、疲れが回復してから下山するかそれとも、疲れ切っていつ事故が起こるかわからない身体でこのまま下山を強行するか、答えはどちらかしかない。
選んだのが後者であった。
齢を考えると錫ヶ岳を日帰りできることなどおそらく、今後、望めないであろう。
日帰りでやってみたい、それは自己満足というなんの役にも立たない心の問題であるが、管理人を山へ駆りたてる大きな動機でもある。矜持のようなものでもある。
ここは最大、細心の注意をはらって下山することで自己満足を得ることに力を注ごう。

『避難小屋分岐から前白根山そして湯元へ』
避難小屋分岐を過ぎ五色沼水場から登ってくる道と合流すると前白根山へのザレ場となる。ザレ場の上りは始末が悪い。靴が滑って足に力が入らない。
時間をかけて前白根の山頂に立つとこれが今朝、雲ひとつない空の下で白根山を仰いだ前白根なのかと思うほどあたりは薄暗く、日没を思わせるような空が広がっていた。途中、コマクサが美しい花を咲かしていたが疲れが極致に達していたのでなんの癒しにもならなかった。

前白根山から外山鞍部間は緩やかな下りが続く。
本来なら疲れた身体を歩きながら休ませるのに最適な部分でありながら、この道でさえ苦痛に感じた。
外山鞍部とスキー場を結ぶルートは傾斜が厳しい。大小の石がゴロゴロしているガレ場でもある。ほとんどの石は地面から浮いているため足を着く場所を選んで歩かないとバランスを崩す。一度、浮き石に不用意に足を乗せたとたんに石が動いて尻餅をついた。これで今日、4度目の転倒だ。
50センチ程度の段差になると一度、腰を落として、それから片足ずつ下ろすのが基本の降り方だが、疲弊した太腿の筋肉は硬直し、膝が曲がらない。
段差の前で立ち止まり、腰を落として、片足を下ろし、両手を腰の脇につき、もう片方の足を下ろす。頭でわかっていることをいちいち言葉にしながら身体を動かしていく。傍からはロボットを見ているような動きであったに違いない。

外山鞍部と白根山登山口との標高差は500メートルもある。距離は800メートルしかないのでその傾斜の厳しさが想像できると思う。62.5パーセント、32度という急勾配だ。
登山口へ下りてホッとする間もなく、次はスキー場の中に敷設されている砂利道を1.3キロ歩いて駐車場に戻らなくてはならない。ザレ場と同じような不安定な道を、足を引きずるようにして駐車場に向かう管理人であった。

これで終わりではありません。
説明はここからです。 m(_ _)m


5:23
早朝の湯元温泉スキー場。
この時期はキャンプ場になる。ブルーのテントがひと張り、ぽつんと見える。
正面の茂みの奥に前白根山への登山道がある。


登山道から振り返るとスキー場に隣接する湯ノ湖、その奥に男体山が朝日に照らされている。


登山道はスキー場の管理道路を兼ねている。砂利が敷かれた道なので登山靴だと歩きにくい。登山口まで30分はかかる。
正面に見えるのは五色山。五色山の手前、左の急斜面を登っていくと外山鞍部へ行く。


5:49
砂利道が終わって登山口に到着。これから30度という急勾配が始まる。


五色沢の堰堤にヤマオダマキが。
そういえばこの辺りは植物の種類が多かった記憶がある。


これはアカショウマ、のはず。ショウマの仲間は見分けが難しい。


外山鞍部への道はガレた急斜面でその上、大きな段差がいくつもある。前白根山に行く難関のひとつとされている。


例年ならこの時期が盛りのイワカガミだが今年は10日ほど早く、そろそろ終わりに近い。


ゴゼンタチバナ
これは葉っぱが6枚だが4枚、5枚と成長して6枚になると花が咲く。


7:12
急傾斜が終わると外山鞍部。
前白根山への難関が終わった。


外山鞍部から前白根山への道は平坦で気持ちよく歩ける。
新緑のダケカンバがとても美しい。


7:37
天狗平に到着。
道は尾根からほんのわずか北側に寄っている。
展望がいいとは言えないが広々していてまるで山頂のようだ。
ちなみに標高は2260メートル。地理院地図に天狗平の記載はない。


天狗平からややトラバース気味に登っていくと再び稜線に乗り、正面に前白根山と白根山をとらえる。
中央右が前白根山、左が白根山。白根山の方が奥に位置しているからその巨大さがわかるというものだ。


同じ位置から白根山の左の斜面を追っていくと実になだらかで魅力的な稜線が見える。
これが錫ヶ岳へと続く白錫尾根。
前白根山から歩いて行くとP2362(地図に記載なし)→白根隠北峰(地図にP2385と記載)→白根隠本峰(地図に名称も標高点も記載なし)→白桧岳(地図には標高点2394と記載)→錫ヶ岳(P2388)に達する。ただし、錫ヶ岳は白桧岳のずっと奥にあってここからは見えない。

なお、白根隠本峰と白根隠北峰といった名称は地理院地図になく、ピークを識別するために管理人が便宜上使っている名称。
昭文社の「山と高原地図」には管理人がいう白根隠本峰が白根隠山(P2410)と描かれている。


8:01
今年になってこれで三度目の前白根山。
積雪期の白根山に登るために3月に、錫ヶ岳の下見のために6月に、そして今日。
そうか、今月二度目になるのだ。


ピークから少し先に行くとこのような展望が待っている。
白根山と五色沼だ。
一度、目にすると病みつきになる美しさだ。


前白根山からザレ場を滑るようにして下りるとこの道。
この手前に五色沼そして、先には避難小屋へ導く分岐がある。


8:21
五色沼避難小屋へはこの道標にしたがって急傾斜を10分ほど下りる。
ちなみに地理院地図にも「山と高原地図」にも道はここまでしか描かれていない。
錫ヶ岳へ行くにはそのまま直進する。
白錫尾根の面白さはここから始まる。


ここから先はハクサンシャクナゲの群落。
いままさに咲き始まったところだ。


8:37
白錫尾根を歩く際のシンボルになっている掘っ立て小屋。
昔はなにかの観測所として使われていたらしい。
かなり前、白根山を下っているときにこの小屋が見えたので、五色沼避難小屋とは別にもうひとつ、山小屋があるのかと思ったのだが、それがこの小屋であった。


シャクナゲの群落をぬって歩く。
今年はシャクナゲの当たり年らしく、どの株にもたくさんの蕾がついている。


白根山の右奥に燧ヶ岳がその独特の形を見せている。


8:51
避難小屋分岐からひと登りすると白根隠北峰に着く。
地理院地図には標高点2385と記されている。
山名板はないがケルンがあるのでそれとなくここがピークであることがわかる。
なお、「山と高原地図」には標高点の記載はない。


男体山と中禅寺湖の眺めが良くなるのもこの辺りから。


白根隠北峰から約50メートル下って次の白根隠本峰を見上げる。
ここから標高で70メートルほど登ると山頂。時間が許すならこのなだらかな稜線を、景色を眺めながらのんびり歩きたいものだ。


9:11
白根隠山本峰と白根山。
白根山は日光でもっとも高い山として知られているが、白根隠山は5番目(※)に高く、標高2410メートルの堂々たるピークである。日光連山で知名度のある太郎山や大真名子山よりも高いのだ。展望も素晴らしい。
奥に見える白根山は平日でも多くの登山者で賑わうが、ここは地図に道がないので歩く人もなくひっそりしている。ただし、管理人は平日しか歩かないので週末の人出は知らない。
※白根山(2578M)→男体山(2486M)→女峰山(2483M)→帝釈山(2455M)→白根隠山(2410M)という順。


次の目的地、白桧岳を目指す。
白根隠本峰から先はガレ場なので踏跡がわかりづらい。尾根筋を見失わないように丁寧に歩いて行く。


9:26
白根隠山と白桧岳のちょうど中間に位置する岩場。地図の岩記号がある場所だ。岩場を巻くようにして踏跡がついているが危険はない。


岩場をクリアしてシャクナゲの群落の間を進んでいく。
歩き易いのはこの辺りまで。


白桧岳にさしかかる頃から笹藪となる。
だが笹はくるぶし程度だし踏跡もハッキリ見えるので道を間違う心配はない。


9:43
白桧岳山頂。
4年前に来て以来、二度目だ。
コメツガやダケカンバ、立ち枯れした木が多い山頂だが眺めが悪いというほどではない。
ここでもシャクナゲの群落が見られる。


さあ、ここから先は管理人にとって未知のルートだ。
気を引き締めて行こう。
水たまりはシカのぬた場。


あれが錫ヶ岳だな。
地図でその姿を想像していたがようやく全貌をとらえることができた。


ミツバオウレン


コメツガの樹林帯だが踏跡はしっかりついていて歩き易い。
だがこのようにしっかりした道になっているのは全体のごく一部だ。


コメツガの枝が顔の前に迫るので両手でかき分けながら前進また前進。


腰高の笹に手こずる。両脚でかき分けながら進んでいく。
踏跡があっても見えないのでそこが尾根筋であることを確かめながら歩く。もっとも、目印も多いので迷うことはないが。


11:17
錫の水場への入口。
白錫尾根で標高がもっとも低い場所だ。水場まで1分とある。
時間が気にかかるのでここは帰りに立ち寄ることにしてさっと通過する。


錫ヶ岳の山頂がすぐ目の前に迫ってきた。
ここから200メートル登ると山頂なのだが、、、


またしても腰高の藪だ。
サービス満点。手を変え品を変え、山頂まで飽きさせることなく登らせてくれるww


あれっ、池塘なのかな、それともただの水たまり?
いずれにしても2千メートル超えの山中で静かな池を見ると癒されるね。


藪はしつこいほど続くw
もう勘弁してくれい。


12:17
深い笹藪を抜けホッとしたと思ったら、そこが山頂だった。
スキー場を出発してなんと、7時間もかかったが長年の悲願達成、錫ヶ岳に登れた。
白桧岳からの予定は1時間半としたが甘すぎた。2時間を超えた。藪こぎを強いられ放しだったのでやむを得なかったことにしておこう。
帰りも同じ藪こぎになることを考えると登頂した喜びは湧かない。難事業の喜びは帰ってからじっくり噛みしめよう。
ここで先着していた男女3人組と出会った。まさかここで他に登山者を見かけるとは思いも寄らなかったので驚く。聞くと、県内さくら市から来られたようだ。
丸沼高原スキー場からゴンドラで2千メートルまで上り、そこから沢に沿って登ってきたのだという。それは管理人が昨年、下見で歩いたルートだった。今年はそのルートも狙っている。
写真は3人組の中のご婦人に撮っていただいた。


山頂は樹林帯の中なので展望がないとの情報であったが東面は開けていて、男体山と中禅寺湖が望める。
時間が迫っているので菓子パンをかじって早々に下山することにした。


13:25
水場への目印まで戻ったので下りてみた。
水量は少ないながらも短時間で給水できるほどの流れだ。
空になったボトルにスポーツドリンクの粉末を入れ水を満たした。


同じルートを戻るので藪は避けられないが、下りの藪と登りの藪では使う力が違ってくる。苦しい。


コミヤマカタバミ


14:37
白桧岳山頂にさしかかる頃になると辺り一面、霧が立ちこめてきた。
雨に変わらなければいいのだが。
山頂にはこの20分後に到着。


白桧岳から先、これまでと違って笹は薄くなり踏跡が見えるようになってきた。


15:08
白桧岳を過ぎると左手に地図でいう凹地が見えてくる。
避難小屋まで続いている。
4年前はここを下りて凹地を歩き避難小屋まで行ったのだが、結構な種類の植物があって楽しめた。。


白根隠本峰への上り。
向こう側から見るときれいな笹原だがこちらからは砂礫帯である。


これもあちこちで見た。コケモモ。


15:26
白根隠山。
朝はクッキリ見えていた白根山が上昇気流にすっぽり覆い隠されてしまった。


白根隠北峰から五色沼を見おろす。


ツマトリソウ


目印となる掘っ立て小屋が見えると避難小屋分岐はもうすぐ。


う~ん、たまらないね、この雰囲気。
まるで異界の中へ吸い込まれる感じ。


15:58
避難小屋への分岐に戻ってきた。
あとは前白根山に登り返せば日没前に帰ることができる。
が、疲れは限界に達している。
ここを避難小屋へ向かえば今日の安眠が約束される。
いま、足を投げ出して横になれるのは大きな魅力だ。
どうする?
この疲れた身体を引きずって帰るかそれとも、いますぐにでも寝袋にくるまって一夜を明かすか。その準備は十分整っているではないか。錫ヶ岳に登頂できたのだから無理して帰ることもない。
心は揺れ動いたが錫ヶ岳登頂はどうしても日帰りでなくてはならないことを、疲れ切った脳に伝え、前白根山へと進むことにした。


五色沼から上がってくる道と合流。
ここから前白根山への登り返しだ。


前白根山頂に向かってザレ場を登っていく。
滑って足に力が入らない。
振り返ると白根山と五色沼が見えるが朝のあの青空とは大きな違いだ。


砂礫帯を好んで生育するコマクサ。
高山植物として人気があるが、環境省の調べによると前白根山のコマクサは本来、ここにある種のものではなく、別の場所から運んできて移植した可能性が高いらしい→詳しいことは環境省の資料で


16:19
ホッとため息。
前白根山頂に戻れた。
ここまで来ればひとまず安心できる。

16:43
天狗平を通過。
疲れているがここで休んでしまったら二度と立てなくなりそうな気がする。なので通過。


外山鞍部から急傾斜をスキー場めがけて下っていく。
早く帰って風呂に入りたい、それだけの意志だけで歩いている。
疲れすぎているのかアルコールのことはまったく頭に浮かばなかったw


18:39
スキー場を抜けて出発点となった駐車場に戻ることができた。
疲労困憊、精根尽き果てながらもなんとか無事に生還したぞ。
日没を覚悟していたが明るいうちに戻れたので上出来だわな。が車の運転、大丈夫か?


GPSのデータを基にフリーソフト「カシミール3D」で描画。
縦軸が標高を表しているが、意外にも知名度の低い白根隠山(本峰)が他に比べて高いのがわかると思う。
なお、お勧めできるのは稜線からの眺めがいい白根隠山あるいは白桧岳までで、そこから先は深い藪歩きとなり、その手の歩きが好きな人以外には勧められない。