ちょっと手強かった赤薙山南尾根。でもそこは嬉しいことにツツジと藪の宝庫だった(^^)

2016年5月28日(土) 晴れ

6:40/高原歩道入口~(0.5キロ)~6:54/中ノ沢渡渉点~(2.3キロ)~8:17/P1404~(1.2キロ)~9:54/ピーク1767~(1.3キロ)~10:41/赤薙山~(1.3キロ)~12:12/P1767~(1.2キロ)13:06/P1404~(2.3キロ)~14:00/中ノ沢渡渉点(休憩)~(0.5キロ)14:31/高原歩道入口

管理人の主催でおこなっている霧降高原・丸山のスノーシューツアーは丸山北コースから山頂を目指し、南斜面を降りて赤薙山稜線に出る。冬の赤薙山稜線からの眺めはガイド役の管理人だけでなく、ツアー参加者が例外なく感嘆の声を挙げるほど素晴らしく、条件が良ければ富士山やスカイツリー、都内の高層ビル群が目に入る。
もちろん、それより近い山並みは手に取るほど間近に迫り、その光景を奥日光で見ようと思ったら2千メートル峰の山頂に立たなくては困難なほどだ。

赤薙山稜線から見る光景で、管理人が前々から気になっていることがある。
赤薙山稜線の上に立つと左側に大きな尾根が見える。下は深い谷になっていて、谷底が中ノ沢。その中ノ沢から斜面が立ち上がっていて斜面の最上部に広い尾根を形成している。
その尾根は積雪期だと広大な雪原となり無雪期には緑の草原として赤薙山稜線から見える。実に魅力的な尾根だ。
いつかあの尾根を歩いてみたい。赤薙山稜線を歩くたびにその想いは強くなる一方だ。

地図で調べると尾根は赤薙山山頂の南から始まり南東へ向かって延び、霧降高原道路の少し西側で終わっている。そこは霧降高原歩道という立派な名称のついたハイキングコースの入口でもある。
しかし、地図を子細に眺めているうちに不安がわき起こってきた。それは等高線の詰まっている箇所がふたつあって、傾斜が30度もあることだ。果たして管理人の脚力で登れるものだろうか。古賀志山のように地図には描かれていない岩場などはないのだろうか。
それと、これこそもっとも恐れなくてはならない、クマとの遭遇だ。藪も想定しなければならないから、あるとき藪の中でクマさんとばったり出遭うことも考えておかなければならない。食料はたくさん持っていくつもりなので、挨拶代わりにお裾分けして済むものならそれでいいが、もっといいものを寄こせといわれても困る。

とまぁ、不安要素満載のルートだが長年いだいてきた夢の実現のためにはそれくらいの覚悟は必要かもしれない。
時期は天候が安定している5月がいい。木々はまだ芽を吹いたばかりなので見通しはいいはずだし、笹の成長もこれからであろう。赤薙山稜線からは見えない景色が広がっているかもわからない。ツツジだってまだ見られるかもしれない。
幸いなことに体調は今がベストだ。うまい具合に山頂に立つことができたら夜は祝杯を挙げよう。と、不安要素を払拭すべく、あれこれ考えを巡らすがそれでもやはり、不安の方が大きい。

まぁでも、初めてのルートを歩くときはいつも不安がつきまとうものだ。
そんなときは早いところ現場に入って仕事をするに限る。
前日の予定では7時から歩き始めるつもりだったが、今朝は緊張のあまり4時半に目覚めてしまった。袋麺で朝食とし、予定を20分早めて6時40分から歩き始めた。


6:40
県道169号線、霧降高原道路をキスゲ平へ向かって走ると「高原歩道入口」というバス停があって、バス停のすぐ脇に見落としてしまいそうな細い道がある。砂利道を走って50メートルくらい行った右側に車1台分のスペースが、そのさらに50メートルほど先の左側にも1台分の駐車スペースがあるので、そこに車を置いた。
駐車スペースに前から入れたがこれには理由がある。駐車スペースの際から先は深い沢へ落ち込んでいるため、後ろ向きに入って万一、ブレーキを踏むタイミングを誤ると沢へ向かって転落してしまう。命がけの駐車、ということになる。もちろん、タイヤストッパーをかけるのを忘れなかった。
ちなみに、この先まだ車が入れそうに見えるが路面が荒れているので車高の高い四駆車でないと無理。


霧降高原歩道は入口を同じとして広大な笹の斜面を西へ向かって歩き、稲荷川上流部あるいは萩垣面を終点とするルート。
2014年12月に歩いたことがある→ブログ記事


道標があるがここは道が分岐していて地図によると直進が高原歩道へのルートになっている。が、下山してわかったのは南尾根に乗るにはここを右へ進んだ方が近道だということ。


道の行き止まりに堰堤がある。
ヒネリギ沢の堰堤なのだがこのすぐ上で中ノ沢が合流している。
今日のルートはヒネリギ沢と中ノ沢に挟まれた尾根を登っていくのだが、尾根に乗るには中ノ沢を渡渉する。その中ノ沢へ行くには堰堤右の林の中を進んで堰堤を乗り越え、斜面を上ると車1台幅の道と出合うのでその道の行き止まりまで行く。
その道とは、前の写真で見る分岐の右の道だったことがあとでわかった。


ここが分岐右の道の行き止まり。
大きな鉄の構造物が地中に埋め込まれている。沢の取水口なのかしら?
この斜面を降りると中ノ沢の河原に出る。


6:54
中ノ沢へ出たので水深の浅いところを選んで渡ることに。


対岸の斜面を登りながら尾根を探す。
おぉ、なんだかとてもいい雰囲気の斜面。まるで日本庭園のような、、、


斜面が終わって平坦になっても日本庭園風はまだ続く。
なんだ、ちゃんと道があるではないか。これなら想像していたほど難しくないような、、、


と思ったのもつかの間で、道はすぐに尽き、笹藪になった。
上の写真の道はシカ道だったのね。


麓ではとっくに終わっているヤマツツジがまだ十分、見られる。
カラマツの若芽がいい色している。ミズナラもある。
が、笹は深くなるばかりだ。


レンゲツツジだ。
ツツジが見られるとは予想していたがまさかレンゲツツジまであるとは、、、なんだかとても贅沢な気分。
こうして花を間近で見るため右へ左へとジグザグに歩くから効率が悪い。
それにしてもこの笹藪、なんとかしてほしい。


笹が生えていない部分に白い花びらが落ちている。シロヤシオだ。
見上げても咲いているのはないからすべて終わってしまったようだ。


これぜんぶ、ツツジの木。
いま咲いているのはヤマツツジしかないがアカヤシオにシロヤシオ、トウゴクミツバツツジもあるのだろう。


ツツジは行く手を阻むほど密生している。
木々のすき間を見つけては枝をかき分けたり、かいくぐったりしながら前進する。


ツツジの藪を抜けると展望が開けて女峰山が見えてきた。


8:17
ここは地図にある標高点1404らしい。
ピークではないので特定するのはむずかしい。


この先、30度以上の傾斜になるので滑り止めにチェーンスパイクを装着した。


進行左手に男体山が見えるようになった。


うへっ、またしてもツツジの藪だ。
ツツジは低木なので枝が地面から横に張り出していてまたいだり、くぐったりと忙しい。


ところどころこのような部分があるが長続きはしない。すぐに藪となる。


藪歩きに疲れて息抜きに後ろを振り返ると墨絵のような風景が広がっていた。
中央の長い尾根が鳴虫山でその左後方は鹿沼市の二股山だろうか。


いや~、もの凄い光景だな。
深紅のヤマツツジにシロヤシオ、トウゴクミツバまで咲いている。極楽だよ。


ツツジの藪を抜けると前方に標高点1767らしき小高い斜面が見えてきた。
あそこに達すれば赤薙山までの4/5は終了したことになる。


いい斜面だ。まるで牧場の中を歩いているようだ。異なるのは牧草の代わりに笹が生い茂っていること。
これが赤薙山稜線から見える広い尾根だろうと思う。
これが笹藪でなく、花咲く植物であったならどれほど素晴らしいことか。


ところどころこのような単独のシロヤシオがあって、これもまた見応えがある。


この白さ、この美しさ。アカヤシオと並んでまさにツツジの女王といえる。


進行右手に赤薙山稜線が見えてきた。
いつも歩いている尾根をこうやって離れて眺めると感慨深いものがある。
右端に見える急斜面が元スキー場のゲレンデ。現在はキスゲ平園地という。
急斜面の少し左に見えるピーク状が標高1601メートルの小丸山。しばらく平坦が続き、緩やかな登りとなってシロヤシオの陰に消えているが、あそこが焼石金剛へと続く歩き易い稜線でその向こうに見えるピークが標高1669メートルの丸山。
さらにその奥に見えるピークの連なりが鶏頂山、釈迦ヶ岳、中岳、西平岳。


ここで再びツツジの藪。
この標高になるとさすがにヤマツツジはなくなりシロヤシオに変わる。厄介なのは背の低いコメツツジの群落だ。跨ぐこともくぐることもできない。10センチくらいのすき間を見つけてそこを強引に突き抜けるしか方法がない。


女峰山が見え始める。


崩落が激しいのであろう樹木も笹も生えていない斜面がある。
正面に見えるピークが赤薙山に違いない。ここからだと右斜めに進んであの林の中を抜けるようだ。


10:31
ここは赤薙山山頂から南に向かって始まる尾根の等高線の間隔が開いているあたり。標高でいえば1960メートル。


赤薙山の山頂が目の前に迫ってきた。
あとひと踏ん張り。


急傾斜を登り詰めるとハイマツだろうか、低木針葉樹に阻まれる。
すき間を見つけて抜け出すと、、、、


10:41
そこは山頂だった。いきなりの山頂の出現にいささかビックリする管理人であった。
このロープの向こうが地図にある登山道。ロープをくぐるとすぐ赤薙神社の鳥居だ。
赤薙山は身近な山なのでなんども来ているが、南尾根を使ったのは初めての経験。あの笹藪とツツジの藪に手こずったがよくやった。


山頂の到着時刻は予定通りだったがスタートを20分早めたので、所要は4時間ちょうど。予定より20分オーバーした。
しかし、あの笹藪とツツジの藪に手こずったことを考えれば20分は誤差の範囲だ。良しとしよう。

それにしてもなんだな、正規のルートなら2時間半で来れるところを4時間もかけるという非効率的な登山はよほどの物好きでなければ普通、しない。
管理人もとうとう普通ではなくなったか(^^)


山頂は賑わっていたが展望が悪いためか長い時間ここにとどまる人はいない。
ここを折り返し点とする女性2人組やご夫婦。小型のザックにもかかわらず先へ進んでいった単独の男性が数名、女峰山へ向かったのだろうか。70リットルの大型ザックを背負った男性2人組はきっと女峰山直下の唐沢小屋に泊まるんだろうな。管理人、平日に来ることが多いのでこれほどの人の数に驚くほどだった。

さて、今日の目的は南尾根を使って赤薙山に登ることにあったので山頂でひと休みした後は下山だ。
しかし、下山するにあたって考えた。
予定だと一般ルートで小丸山へ降りてその先は天空回廊を下る。そこからバスに乗り、車を置いた高原歩道入口まで行き、マイカーで帰るというものだ。下山は早足で1時間半もあれば十分だ。
一般ルートはこれからも使い続けるだろうから、今日は上りと同じルートで下山してはどうだろうか。
このルートは厳しすぎてお客さんとのツアーには使えない。管理人自身、これから先、二度三度と歩くこともないであろう。
滅多にない機会だ。上りは設定したルートをはみ出すこともなく、問題はな かった。では、下りもまったく問題は起こらないのか、それを検証してみたくなった。上りではわからなかった新しい発見があるかもしれない。
菓子パンでエネルギー補給したあと、さっそくあのロープをくぐり抜けて下山に取りかかった。


下り始めてすぐ、上りでは気がつかなかったがイワカガミが見つかった。
花の色が白いので古賀志山でよく見るヒメイワカガミであろうと思ったのだが、いくつかの相違点がある。ひとつは花の付け根を包み込んでいる萼の色だ。ヒメイワカガミの萼は白いがこれは赤い。それと葉っぱの形だ。ヒメイワカガミの葉は丸く、葉の縁に細かいギザギザ(鋸歯)があるのだが、これは鋸歯が大まかで亀の甲羅に似ている。
家に帰って時間をかけて調べたがここで見たイワカガミに該当するのは見つからなかった。かろうじて、ヤマイワカガミが似てなくもない。課題としておこう。


今度はユキワリソウだ。
日光で見たのはこれで三度目。女峰山の南面と赤薙山稜線そして、今日ここで。


11:41
花と戯れている間に上ってきたルートを見失い、20分ほど彷徨うことになったが無事に尾根に乗ることができた。
これからまた、急斜面を下り藪を抜けなくてはならないと思うと気が重いが、上りのルートしか知らないのは片手落ちになる。と、自分に檄を飛ばして下っていく。


11:46
ここは上りで通ったね。


ガレ場の途中で見つけた、これはケルンだろうか?
でも上りでは気がつかなかった。


見事というほかに言葉が見つからないシロヤシオの群落。紅一点のトウゴクミツバツツジが映える。


12:32
コメツツジの群落が始まった。
進む方向、見渡す限りのコメツツジだ。幹も枝も硬いのですき間を通り抜けるにも苦労する。


コメツツジの藪はもう慣れっこになってしまった。
意識を前方のシロヤシオやヤマツツジに注ぐと藪も平気になるというものだ(苦笑)


深紅といえばいいのだろうか、こんな色のヤマツツジはそうざらにあるものではない。


レンゲツツジの群落に戻ってきた。


13:49
朝も通った日本庭園の中の道。ただし、シカ道。


14:00
尾根は終わり、中ノ沢に降り立った。
そういえば、今日は登るのに夢中になって食事は赤薙山で食べただけだ。
ここまで降りてきて緊張から解放されたためか、急に空腹を感じた。ここで2回目の食事としよう。スポーツドリンクはもはや飲む必要はなくなったので、持参した缶コーヒーを飲み菓子パンをかじる。


赤薙山稜線と赤薙山南尾根に挟まれた谷を源にする中ノ沢はここに至るまで人工物はなく、とてもきれいだ。浮遊物ひとつない。この時期、他の沢で見るようなプランクトンの発生によって生じる石けん状の泡も見ない。


総距離 :10.6キロメートル
標高差 :1045メートル
累積標高:1281メートル
※GPSデータを基にカシミール3Dで算出

雑感
尾根に乗るには中ノ沢を探して渡渉するが水量次第で渡れないこともありそう。数日前からの雨量を頭に入れて置いた方がいいと思う。
尾根に乗ってしまえば道迷いの心配はないと思うが、牧場のような広い部分があって方向を見失うこともあり得る。特にツツジの藪を避ける場合など、避けたあとの進行方向には注意を要する。
また、今日は30度を超える笹の急斜面を経験した。さすがに怖かった。笹を束にして握り、滑落しないよう、慎重に登ったのは言うまでもない。

上に載せた地図で往路と帰路のルートにずれがある。
山頂直下のずれは管理人のミス。
方角を確かめないで下ったところ、真南へ向かうべきところを西へ向かっていた。気がついて修正にかかったが危険箇所があったりして元のルートに戻るのにかなり時間がかかってしまった。下る際にコンパスをセットすべきだった。
そのおかげでイワカガミとユキワリソウに出会えたので悪いことばかりとは言えないが、、、と言い訳。
標高点1767から下のずれはツツジの藪を避けているうちに往路と違ったものだが、これは誤差の範囲。

クマとの出合いは幸いなことになかった。
広葉樹の深い林だし登山者のいないルートなので見通しのきかない場所では笛を吹いてこちらの存在をアピールしながら歩いた。
笛は音が大きくまた、遠くまで届くので、クマに知らしめるにはいいのではないだろうか。
それと鳴らすタイミングだ。
熊鈴は常時、チリンチリン鳴っているから付けている本人が安心してしまって、クマへの注意が疎かになりそうで管理人は使わない。やはり五感を頼りにクマの存在に注意しながら歩き、必要に応じて音を出す方がクマ避けの効果はあるのではないかと思っている。

日光に2千メートル超えの山は多いがどうしてもピークハントが目的になってしまい、プロセスを楽しむことをしなくなってきている。それが理由で積雪期の登山や宇都宮市の古賀志山といった、そのプロセスが面白い山へと管理人を向かわせている。
今日の赤薙山南尾根は、ピークハントよりもプロセスを楽しむことができたので満足している。丹念に探せば日光にもまだ楽しめるルートがあるのだということがわかった。

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