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湯元~前白根~白檜岳、12時間50分の死闘! が、花も満喫

2012年7月4日(水)、快晴

冬、中禅寺湖畔を湯元に向かって車で走っていると白根山の南に、荒々しい様相の白根山に比べて実にきれいな台形の山が見える。地図で調べてみると3等三角点をもつ錫ヶ岳で、標高は2388メートルとある。

2万5千地図に道が描かれていないのはアプローチが悪いため登山者が極めて少なく、踏み跡はあっても草に隠れて航空写真には写らない。したがって地図に道がないということになる。
まだ脚が使えるうちにこの山に登ってみたいとは思うものの、日帰り登山を原則とする私には地図を見る限りどう頑張っても無理そう。そこで今回は下見を兼ねて錫ヶ岳にもっとも近い山で日帰りができそうな、白檜岳まで行くことにした。 白檜岳までの所要時間を計り、その上で錫ヶ岳までの時間を予測するのが今回の目的だ。

ソロで山に登るとき、もしかすると帰ってこれないのではという不安がついて離れないため多めの食料に水2リットル、非常食、ストーブにコッヘルセット、ツェルト、レスキューシート、GPS、ヘッドランプ、無線機など万一の際に必要な装備をザックに詰めると10~12キロの重さとなる。これにデジカメや予備の電池、手帳、録音機他、小物多数を加えると年齢不相応の重さとなって疲れも増すけれど、命には替えられないから我慢するしかないわけでその上、どんな小さな花も見逃さないように左右を見ながらゆっくり歩くため時速1.5キロ~2キロが私の標準ペースとなる。
そこで過去の記録から予想して白檜岳往復は12時間と算出、登山開始は午前5時とした。ルートは湯元スキー場をスタートして外山(とやま)鞍部経由で前白根山に登り、進路を南西に変えて白根隠北峰、白根隠本峰と尾根を歩いて白檜岳まで行き、錫ヶ岳を眺めるということにした。

地図上で計測すると白檜岳から錫ヶ岳まで片道2.8キロなのでよほどの難所がなければ私の足で往復3時間から3時間半。したがって総時間として15時間かかるとみておけば錫ヶ岳日帰りは達成できそうに思えるが、計算通りいかないのが自然相手の常識。慎重を期して今回はあくまでも下見と決める。


湯元スキー場湯元スキー場をスタート。夏場はキャンプ場になっている(05:05) 。

IMG_1103出迎えてくれたニホンザル。

外山鞍部へのルート最大の難関、リフト降り場から外山鞍部までは陽も差し込まない急傾斜の樹林帯が続く。
数年前の冬、スノーシューで挑戦したことがあってあまりの急傾斜にアイゼンに付け替えて登ったことがあった。

イワカガミ登り始めて間もなくこんな可憐な花に出合う。イワカガミ。

ハクサンシャクナゲ標高2千メートル級の山に生育するハクサンシャクナゲ。

ゴゼンタチバナ
ひと頃は湯ノ湖で数株だけ見られたゴゼンタチバナであるがこのルートではいくらでも見ることができた。

ミツバオウレンミツバオウレン

ベニサラサドウダン湯ノ湖ではとっくに終わったベニサラサドウダンがここでは見ごろとなっている。

外山鞍部(ここまでが厳しい)外山鞍部。急傾斜はここまで。ここから白檜岳まで稜線歩きなので景色を見ながらノンビリ歩くつもり(07:22)。

天狗平外山鞍部からも樹林帯が続いたがここ天狗平まで来ると視界が一気に開ける(07:56)。

フデリンドウ直径1センチほどのフデリンドウ。注意していないと見落としてしまいそう。

前白根山(中央のピーク)正面に前白根の山頂が見えてきた。その左に見えるのが白根山。

天狗平から前白根山へ新緑が始まったばかりのダケカンバの林の中をゆっくり歩く。

ミネザクラおっ、ミネザクラだ! しかも満開。

前白根山山頂ここまでお花見気分で前白根山に到着。標高は2373m、右奥は白根山(09:10)。

気持ちよさそうな白根隠への稜線前白根山頂からこれから向かう白檜岳方向を確認する。ピークが白根隠で白檜岳はここからでは見えない。その右のこんもりしたのは白根隠北峰。

白根山と五色沼真西には五色沼を従えた白根山の雄姿が見える。それにしてもデカイ。

IMG_1229白檜岳へのルートから東南の方向には男体山と中禅寺湖が。

ツマトリソウこのルートも花の多さでは負けてはいない。小田代ケ原や戦場ヶ原でよく見られるツマトリソウも。

白根山隠北峰ピーク(後は白根山)この石積みが白根隠北峰(2385m)でその後が白根山。大きな声を出せば届きそうな距離。

ハクサンチドリなんと、ハクサンチドリの出迎えをうけた。昔は広範囲に分布していたらしいがいまではシカに食われてほとんど見かけないとか。

白根隠山頂2410mこの石積みが白根隠山の頂上(2410m)。そのうしろが白根山。(10:35)。

白檜岳へのルートは笹原白檜岳へはこの笹原を歩くが、よく見ると笹に隠れてわずかに踏み跡が確認できる。

白檜岳山頂標識は見あたらないがここが白檜岳の山頂(2394m)らしい(11:20)。
スキー場をスタートして6時間と15分。それにしても遅い。

写真中央が錫ヶ岳ピーク その姿から察して中央に見えるピークが我が憧れの錫ヶ岳。やっぱり遠いなぁ。

白根山南の砂地白根山から避難小屋に降りる際に見える盆地上の砂地。歩くと気持ちよさそうなのでこれを機会に降りてみた。
とはいえ標高差150メートル、30度の傾斜を一直線に降りるのは勇気がいる。 両膝が痛み始めたのもこのあたりから。

白根隠山を見上げる砂地に降りて見上げると、、、白根隠山があんなところに。
登る気にはなれない傾斜(12:30)。

避難小屋にいた親子鹿砂地を北上すること40分で避難小屋に到着。ここから前白根山に進路を変えるともと来た稜線へ出るルートがある。
しかしそこへ立ちはだかったのはシカ。しかも2頭も(と、ここは苦し紛れにダジャレだ)。
手前の子供は私に気がついたようだが逃げない。母親がまだ私に気がついていないため、子供は母親が危険信号を発するまで逃げないでいる(13:08)。

前白根山と白根隠との分岐避難小屋から急登すると前白根山から白根隠への稜線に出るのでここを前白根山方向へ。
あとは同じルートをたどってスキー場に戻るわけだが外山鞍部からの急斜面は滑落しないよう、慎重に降りたことはいうまでもない(13:30)。

シカ牧場おっ、シカの大群が。40頭ほどいただろうか、まるでシカ牧場と化した湯元スキー場であった。
昔はここ一面にヤナギランが生育していたそうだがシカに食われて全滅。いまは有志の手でネット内で育成している(17:50)。

120707白檜岳本日のルート図。
この画像はGPSの軌跡をDAN杉本氏によるフリーソフト「カシミール3D」に取り込んで作成しました。


総括
3年前の冬、不注意によって右足の腓骨を骨折してからというもの右足首の可動範囲が狭くなり結果として、足の左右のバランスが悪く傾斜を歩くと膝が痛み、歩くのが辛くなってしまった。
骨折箇所は完璧に治っているというのが整形外科的見解であるが、よく考えてみれば骨折するほどの衝撃がかかったのであれば骨を取り巻く靱帯や筋には大きな ダメージが生じたと考えるのが自然であり、それはX線などではわからない。X線でわからないのはリハビリ科の仕事と言われ半年通ったが、良化しないまま法律で決まっている期限が過ぎたため、病院から放り出された格好。
その後はインターネットの情報を頼りに遠方のなんだか怪しげな整骨院に通ったり、近くに新しい整骨院ができたと聞いては飛んでいったりと、他の助けを借りることばかりに気がいっていたがそこから得た結論は、自分の身体は自分で治すしか方法がないということ。

すなわち、ジムでの筋力強化に加えストレッチを入念におこなう一方で、足(膝)の痛みと上手に付き合いながら山登りするのが私流の登り方となった。下山で 膝を痛めてしまったという話をよく聞くが、それは登りで足を使いすぎてしまうから下りで踏ん張りが効かなくなるからであり、したがって登りをいかにして楽にするかということを骨折後の課題としてきた。

今回のルートの難関は斜度30度の外山鞍部までの約1キロであり、ここを時間をかけてゆっくり登ることがポイントであった。花の写真を撮るなどして休憩を長く取りながら2時間強かけて登ったのは正解だと思っている。また、足への負担を少しでも軽くするようダブルストックを使ったこともよかったはずだ。
それでも、白檜岳からの戻りで白根山直下の砂地へ降りる際に両膝が痛くなり以後、ゴールまでの5時間、膝の痛みと付き合ったことになる。
スタートからゴールまで12時間以上要したのは上記の私流の歩きを実践したからであり、健脚な方であれば8時間もあれば十分なはずだ。
加齢による体力と心肺能力の衰え、狭くなった足首の稼働範囲というハンディをかかえた私は、がむしゃらに登っていた3年前の状態を取り戻したいと何度思っ たことか。それがストレスとなって山から遠ざかった時期もあったがここに来て、錫ヶ岳という目標をもつことで山への取り組み姿勢が違ってきたのは私の変化 といえる。